2024年11月18日(月)に、CO-DEJIMA主催で、長崎県にメガベンチャー・最先端企業が集まり、知見共有と交流を行うイベント「NEO-DEJIMA GATHERING」の第3回目のイベントが開催されました。この記事では、イベント概要やハイライト、参加者の声など、当日の様子をお伝えいたします。第4回はGoogle with Google講師やGoogleプレミアムパートナーによるWeb集客やGoogleを活用したチームの生産性向上をテーマに12月3日(火)開催!こちらもぜひお申込みください!イベント概要「すごいベンチャー100」に選出された福岡・北九州発スタートアップ、クアンドの下岡代表の講演、さらに、日本スタートアップ大賞受賞のSmartHRからブランディング統括本部渡邊様をお招きし、十八親和銀行植木様モデレーターのもと「DX」についてのパネルディスカッションを開催しました。会場は後援していただいている十八親和銀行様が運営するコワーキングスペース「ダイアゴナルラン長崎」を利用福岡を代表するスタートアップ「クアンド」下岡代表によるご講演まずは下岡さんによるご講演。起業に至った経緯やプロダクトの詳細をご説明いただき、その後のオープンディスカッションでは、参加者からの多くの質問に丁寧にご回答いただきました。「地域のレガシー産業をアップデート」するために起業下岡さんは学生時代、宇宙や人体の研究に取り組み、新卒でP&Gに入社。P&Gでは生産管理や海外勤務、プロダクト立ち上げを経験した後、博報堂コンサルティングに転職。ここではマーケティングやブランディングのコンサルティング業務に従事し、その後、30歳で起業されました。(起業までに幅広い経験を積んでおられることに驚きの声も上がりました!)さらに、生まれ故郷である北九州市が製造業の街であった背景から、「地域のレガシー産業をアップデートしたい」という想いが起業の原動力になったと語られました。社会問題とつながるプロダクトクアンドが提供する「シンクリモート」は、現場管理を効率化するためのツールです。下岡さんのご実家が建設業を営んでいたこともあり、身近な課題として次のような点に着目されたそうです。ベテラン社員に業務が集中し、負担過多で退職してしまう問題人手不足の中、採用した社員が移動時間に多くの時間を費やしてしまう現状これらの課題意識から生まれたのが「シンクリモート」でした。シンクリモートについてはこちらビジネスを進める中で、これらの問題は下岡さんの実家だけでなく、さまざまな「現場」で共通する課題であることが明らかになったとのことです。下岡さんの言葉で印象的だったのは、「これは単なる個社の課題ではなく、社会の問題とつながっている。現場の管理のあり方そのものを変えたい」という想いです。「問く」スタイルではなく「気づく」スタイル質疑応答では多岐にわたる質問が飛び交い、以下のような興味深い内容が議論されました。開発初期についてはじめは受託ビジネスを行い、キャッシュを確保。これによりシード期の株式希薄化を避けることができた。広報・営業戦略銀行系のオープンイノベーションプログラムに参加したことで、メディア露出や広報の機会が増加。資金調達後はWebマーケティングにも注力しているが、展示会との相性が特に良い。また、商社や銀行とのパートナーセールスも効果的であると強調されました。課題の普遍性「現場の管理」は建設業だけの問題ではない。センター・オブ・エクセレンスの考え方を取り入れ、幅広い業界に展開していきたい。特に印象的だったのは、ある参加者が下岡さんのX(旧Twitter)の以下投稿に共感を寄せた場面です。「スタートアップは、あるべき姿を提示し、そちらに導く力が必要だ」このコメントに対して、下岡さんからは次のようにご説明いただきました。「私の基本的な思考は、いわゆる受験勉強スタイル。論理的に『問く』ことで同じ結論にたどり着く。こういうのはChatGPTに聞けばよいのではないか。これから重要なのは『問く』のではなく『気づく』ことだ。こうした気づきは、業界や現場などを知っていないと気づくべきところに気づかない。シンクリモートは、Figmaを使ってデザイナーがすごいスピードで成長しているのをみて、これをWebではなく現実の世界でできないのか?という気づきがはじまりだった。」この「気づき」の重要性に関する言及は、多くの参加者の心に響いたようです。地方企業におけるDXの進め方続いて、地域企業のDX推進をリードする福岡銀行ソリューション営業部(十八親和銀行デジタル化推進部付出向中)の植木様と、SmartHRブランディング統括本部の渡邊様をお招きし、下岡代表を交えたパネルディスカッションが行われました。DX推進の課題や組織の在り方について、熱い議論が繰り広げられました。地域企業のDX推進における課題下岡さんからは中小企業においてはトップダウンが重要という課題提起があり、植木さんもご自身のコンサル現場での経験からとても共感していました。トップダウンの重要性と現場の抵抗(下岡さん)中小企業においては、トップダウンのアプローチが重要現場の従業員はDXに対して乗り気ではない場合が多く、既存のやり方を変えたがらない傾向があるエスカレーション時の壁(植木さん)現場に入り込み、業務を理解してボトムアップで提案をまとめても、経営層にエスカレーションした際に一蹴されるケースがよくある。トップダウンも必要と感じている。お二人の課題感に対して、渡邊さんからは「業務課題」と「経営課題」の両方を理解して取り組むことの重要性を述べられました。課題の認識の共有(渡邊さん)DX推進においては、業務課題と経営課題の両方を認識し、現場と経営層が共通の理解を持つことが不可欠。どちらか一方の視点では、効果的な推進が難しい。DXに対する感度は地域や産業ごとに異なるため、それぞれに適したアプローチが求められると議論されました。SmartHRについてはこちらデジタル技術を活用した課題へのアプローチデジタル技術の活用に関しては、課題のレベル感に応じた対応やデータ活用の重要性について議論されました。課題のレベルに応じた対応(下岡さん)DX推進においては、課題のレベル感に応じてアプローチを変える必要がある。同じツールであっても、売り方や伝え方が異なる。例えば、「何かDXをやらなければ」という顧客と、「具体的な課題解決としてDXを検討している」顧客では、全く異なるアプローチが求められる。データ活用の重要性(渡邊さん)DXを進めることで蓄積されるデータを活用し、感覚ではなくデータに基づいて分析することが大切。これにより、自社の強みや弱みを把握し、経営に活かすことが重要。一方で、定量データだけでなく、定性データも見る必要がある。合理的な進め方に加え、感情面への配慮や納得感を得ることも重要。DXを支える人材育成と組織カルチャーの変革人材や組織に関しては、日本ならではの特徴やそれに対応するための伴走姿勢の重要性などが述べられました。現場とマネジメントの違い(下岡さん)日本は現場の力が非常に強く、現場にお伺いを立てている限りは、大きな変革は難しい。アメリカではマネージャーが決定を行い、ワーカーが実行に徹する明確な役割分担が存在するが、日本ではこの文化が根付いていない。「日本人優秀すぎ問題」(下岡さん)SaaSベンダーからは「日本人は優秀すぎる」と評されることも多い。海外ではジョブディスクリプション(職務記述書)が詳細にあって、やり方が決まっているためSaaSで代替しやすい。現場からの反発への対応(渡邊さん)DX導入時には、現場からの反発(ハレーション)が起きがち。そのため、導入者が悪者とならないよう、社内での研修や勉強会を支援するなど、現場と共に発信していく姿勢が重要。まとめ今回のパネルディスカッションでは、DX推進における課題やその解決策、さらに組織文化や人材育成の重要性について深い議論が交わされました。「トップダウンとボトムアップのバランス」や「データ活用と現場への配慮」の両立が、DXを成功させる鍵であると感じました。質疑応答では「UI/UXの工夫」「採用課題と対策」など多岐にわたる質問が飛び交い、活発な意見交換が行われました。参加者の熱意が感じられる、非常に有意義なセッションとなりました。ネットワーキングの様子次回ご案内|2024年12月3日(火) 第4回 開催!第4回はGoogle with Google講師やGoogleプレミアムパートナーによるWeb集客やGoogleを活用したチームの生産性向上をテーマに12月3日(火)開催!こちらからぜひお申込みください!